こどもは目覚め、そこにはランプのひかり。
1965・東京、1945・ハルビン、松花江の河面。
さざめき、流れる舟、そして「魚にされた人たち」
……いまとむかしの秩序を飛びこえ、
ーーそこには、なにもかもがあった!
石川泰作曲・作詞・物語による、一夜限りの音楽劇。南青山曼荼羅の地下空間が、世界のあらゆるあちこちの空、知らぬはずだった土地、記憶以前の海の波頭に射す、その誰も見ていなかったひかりに、通じてしまう!
なぜならそれらはけして意識の辺土(リンボ)ではなく、私たち「ぜんぶ」の、故郷であるはずなのだから。
「魚たちの苦しみを、わが苦しみとする」
「なにも成長し始めていないわたしは、ただそこにいる」
駄ガニや小エビやクラゲや海藻の切れ端。つまらないもの、何の意味もないもの。それらが水の流れの都合でたださざめいている、さらにその下の仄暗い海の底。さらさらと意図なく流れる、ただの砂の粒のそのひとつ。
それが私たち。
「もしも終わりがないのなら、私はあなたを憶えていられるだろうか?」
2015,6年「ねこの名前は〈ほし〉」2016年「ねこの集会☆星の周回」、そして2019年のこの日、この夜。月夜果実店「猫三部作」の完結編は、さびしく広く、とほうもなく防備がなく、そして、このように美しいものだった!
2019 年 6月26日(水)
南青山 MANDALA 19:30開演 (18:30 開場)
¥3200(with one drink)
作詞/作曲 脚本 石川 泰
演出 堀切和雅
出演 ヒグマリ(樋口麻理子) 小関明久 ほか
[演奏]石川泰 柏ハング 安部努